筒井伸輔画集
採集してきた虫を標本にし、それを顕微鏡で撮影して作ったフィルムを紙に投影し、作品を作り上げていく。
モチーフの形はそのままに、彩色した蝋を重ねていくと、平面のモチーフは立体的に見えてくる。
虫の存在を丁寧に積層に封じ込めていく作業は緻密で繊細。彩色された虫は、別なものに生まれ変わったかのようだ。
地道に制作し続けてきた作品を、あるがままに見せる。
本書は非常にシンプルな画集だが、虫の存在の痕跡を封じ込めた世界は、見れば見るほど奥が深い。
本書の完成を見ずに、筒井伸輔はこの世を去った。
2019年4月に病が判明して以降、通院と治療をくり返しながらも、静かな情熱をもって最後まで作品をつくり続けた。
どんな画集にするか、本書の制作にも最後まで携わった。
ただただ純粋に作品を見せる、そういう思いが伝わる画集である。
父・筒井康隆の著書『聖痕』が朝日新聞に連載されていた際の挿絵全238点も掲載。
画家筒井伸輔の生きた証がここにある。
発行日:2021年2月15日
企画、発行:株式会社ミヅマアートギャラリー
発売:株式会社求龍堂
言語:日本語、英語
サイズ:A4 / 29.7(縦)× 21(横)× 1.5(厚)cm
ページ数:128ページ(カラー、上製本)